これからのサプライチェーンに必要な3つの優先事項:「レジリエンス」、「アジリティ」、「サステナビリティ」

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July 15, 2022担当 北川 裕康

言うまでもなくサプライチェーンは重要です。COVID-19危機、現在進行中のウクライナ紛争は、半導体不足などによって、今日のグローバルサプライチェーンの脆弱性を露呈しました。また、複雑で、不確実で、変化の激しい環境の中で、製品の流れを維持する組織として注目を集めました。このような中、サプライチェーンにおいては、従来のコスト・資本、品質、サービスとい目標に加え、3つの新しい優先事項が浮上してきました。それは、「レジリエンス」、「アジリティ」、「サステナビリティ」です。

新しい優先事項の最初の項目である「レジリエンス」は、サプライチェーンが広く話題に上るようになった課題に対応するものです。2つ目の「アジリティ」は、急速に進化し、ますます不安定になる顧客や消費者のニーズに対応する能力を企業が身につけるためのものです。3つ目の「サステナビリティ」は、クリーンで社会的に公正な経済への移行において、サプライチェーンが果たす重要な役割を認識したものです

サプライチェーンのレジリエンスを高める

サプライチェーンは、常に破壊的な影響を受けやすいものです。現在の自動車業界の半導体不足がそうです。新車の納車が数か月先という状態が続いています。といって、代替品がないので、解決できないというジレンマがあります。サプライチェーンのリスクは、不測の事態に対する脆弱な部分顕在化します。このリスクを軽減するための最初のステップは、組織のサプライチェーンの脆弱性を明確に理解することです。サプライチェーンにおいて単一障害点となり得るサプライヤー、プロセス、施設はどこか?不足または価格変動のリスクにさらされている重要な投入物は何か?などです。

サプライチェーンのアジリティを高める

顧客ロイヤルティは、もはや当たり前のものではなくなっています。オンライン購買が一般的になり、顧客がせっかちになっているのです。人々は、いつもの店に行けないときはオンラインにアクセスし、入手できないと他のブランドを変更してしまいます。顧客に製品を供給し続けることができた企業が勝者になるのです。

また、かつて企業は、慎重にターゲットを絞った販促キャンペーンを行うために、サプライチェーンの準備に何ヶ月も費やしたかもしれませんが、今では、たった一本のYoutubeビデオやInstagramの投稿が、紹介された商品に一夜にして数万人もの消費者の注目を集めることがあります。

企業にとって、消費者と同じスピードで行動する必要があります。つまり、さまざまな消費者グループのニーズの変化に応じて、それに対応する革新的な製品とブランドを生み出すということです。言葉でいうのは簡単ですが、かなり難しいことです。また、実店舗、オンラインなどのチャネルを通じて製品を提供するスキルを向上させる必要があります。消費者製品の複雑化と需要の変動がサプライチェーンに波及し、B2Cの先にあるB2B ビジネスにも同様のプレッシャーがますます大きくなっています。

このように動きの速い、細分化された消費者中心の世界では、これまでとは異なる種類のサプライチェーンが必要になります。従来のサプライチェーンは、安定性とコストの最小化を追求していました。これからのサプライチェーンは、よりダイナミックに、急速に変化する需要や継続的に変化する製品・チャネルミックスを予測し、準備し、対応することが必要になります。つまり、サプライチェーンはアジャイルになる必要があるのです。

サプライチェーンのサステナビリティを実現する

ESGが話題ですが、その中のEnvironment環境において、サプライチェーンは、企業のサステナビリティの変革において中心的な役割を担っています。ゼロエミッションには、対応範囲を定義したスコープがありますが、企業の直接的な活動(スコープ1、2)、より広いサプライチェーン(スコープ3)です。スコープ3を実現する場合は、サプライチェーン全体のCO2排出や廃棄についてトラックして定量化する必要があります。これはなかなか厄介は挑戦です。

これらの優先事項をも実現する次世代のサプライチェーンは、より複雑になっています。レジリエンス、アジリティ、サステナビリティという新しい優先課題は、既存のサプライチェーンの設定に追加することはできません。現実的には、サプライチェーンの設計、組織、運用のあらゆる要素において、これらの要素を基礎から組み込んだ新しいモデルを検討する必要があります。このようなサプライチェーンの実現には、デジタル能力の向上が不可欠となります。ただ、かの有名なジムコリンズが書籍「ビジョナリー・カンパニー2」で「技術は業績の促進になるが、革新を作るものではない」と述べているように、デジタルはツールであり、モデルの設計能力がもっとも重要な能力だとは思います。

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