マッキンゼー社のレポートにみる最適なレジリエンスを実現するサプライチェーン構築方法

intelligent supply chain solution

June 6, 2022担当 北川 裕康

ロシアのウクライナ侵攻は、製造業、食品、化学、金属、エネルギーなどの多くの業種で、需要、配給、物流面において、多大なインパクトを与えています。これに、干ばつによる農作物被害や半導体不足が重なり、地球全体で今までにない規模でサプライチェーンが混乱しています。私たちは、毎日のように物やサービスの値上げのニュースを見ていて、とても暗い気持ちになります。

このようなインパクトを軽減するため、マッキンゼー社は、レポート「Supply chains: To build resilience, manage proactively」で、3つのステップを使い、最適なレジリエンスを実現するサプライチェーンの実現を提言しています。この混乱の時代、レジリエンスという言葉は、すっかり定着して感があります。

https://www.mckinsey.com/business-functions/operations/our-insights/supply-chains-to-build-resilience-manage-proactively?

VUCAと言われる不確実、不確かなこの時代では、短期、長期の両面で、起こり得る激変に備えることで、企業は、サプライチェーンにレジリエンスを組み込むことができるようになる可能性があると述べています。その3つステップとは、以下になります。

短期的な火消し活動

これは、日常的な対応に焦点を当てることであす。たとえば、需要を満たすための迅速な配送サービスや、部品の緊急購入による生産速度の向上など、日々の改善を継続的にやることです。このような対応は、これまで見過ごされてきたサプライチェーンのギャップを特定する上では、ある程度有効であろうと述べています。しかし、これらの手段はレジリエンスを高めるものではなく、あくまでの改善です。

業務の統合と効率化

この2番目のステップでは、レジリエントなサプライチェーンを構築するために、3つのアクションが重要になると述べています。

  • サプライチェーンの神経センターを作ること。これは、極度の混乱を想定したシミュレーションと計画を立てること、ジャストインタイム戦略を見直すことです。
  • 極端な需給の途絶をシミュレートし、計画する。この行動には、通常より早く部品を発注して納期に余裕を持たせること、エネルギー、材料、輸送のコスト上昇を考慮すること、重要材料の在庫を確認して不足が避けられないと思われる場合は生産の再優先順位を決めることなどが含まれます。発生する混乱も含めて先読みして、対策を立てることが大事です。
  • ジャストインタイムの在庫戦略を見直す。危機が発生した場合、在庫や材料のバックストックがないと、サプライチェーンに深刻な脅威を与える可能性があります。リスクを軽減するための対策としては、新しいサプライヤーの発掘、ネットワークの再設計、在庫目標の再設定、安全在庫の確保、地元または地域からの調達などを考える必要があります。

構造的なレジリエンスを実現する

CEO やその他のトップエグゼクティブは、危機の発生時には迅速な対応を重視するかもしれないが、長期的なレジリエンスを構築するという難しい課題についても考慮する必要があるかもしれない。安全在庫の積み上げや、サプライヤーの開拓など、コストがかかる課題でありますが、レジリエンスはある意味バックアップシステムの強化であり、どうしてもコストがかかります。

そして、レポートでは、サプライチェーンの途絶による長期的かつ永続的なダメージを軽減するための選択肢のひとつは、顧客に対する戦略的な優先順位を維持することと締めくくっています。短期、中期、長期での視点すべてでの、サプライチェンのレジリエンス改善が重要です。

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